らんちさんの中の人のブログ

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日本の過去と未来

 

3ヶ月ほど改装工事をしてた老舗ラーメン屋がやっとリニューアルオープンしたので行ってみた。改装工事前は、店に入る前から漂う臭い豚骨の香りと油の混ざった匂いが、まるで市内のビル群にいるのを忘れるぐらい濃く懐かしさを感じた。床は油でベトベト天井や壁は剥がれかかっており、食器棚は歴史の教科書に出てきそうなほど簡易的で素朴だった。壁にあるメニュー板は何が書いてあるのかわからない。そんな中、腰が90度に曲がった店主が出す質素なラーメンはなぜか深みと歴史を感じ、いわば五感で楽しむ体験型飲食店に生まれ変わっていた。「美味しい」とは感じないが3週間ほど経つとまた、あの懐かしさを思い出してしまう。悪魔的なスパイスがあるのだろうか、いや現代に忘れ去れたものを埋め合わせしてくれるような懐かしい感覚なのだろう。そんな感覚を抱きリニューアルした老舗ラーメン屋に行ってみた。そこにはあの臭い匂いはなく、床に違和感はなく、メニュー板も混沌からはほど遠いはっきりした字で書いてある。若い子が出すそのラーメンは見た目同様の味であった。複雑に絡み合ったものがすっきりとした綺麗な一本の線になったように、何不自由なく何にも考えずに終えてしまう。正解が思っていた解答とは違ったように、温故知新はまるで悪を見るような立場になるのだろうと感じた。